Thursday, June 10, 2021

塩はどれほど体に良くないのか?――AHAニュース - HealthDay

塩分の取り過ぎが体に良くないことを多くの人が知っている。しかし、その理由を正しく理解している人は少ないかもしれない。米ヴァンダービルト大学のCheryl Laffer氏は、「一般的な米国人が摂取する塩分量で、健康がいかに害されるかを知った時、人々は驚くだろう」と語っている。

米疾病対策センター(CDC)によると、米国人の約9割がナトリウムを取り過ぎているという。そのナトリウムの大半は塩化ナトリウム、つまり塩だ。塩分が体に与える6つの影響と、その対策を以下にまとめる。

心臓への影響

同大学のFernando Elijovich氏は、「心臓はポンプであり、血管はパイプだ」と解説する。パイプを通る血液の量が増えたり、パイプが細くなれば、血圧は上がる。塩分の取り過ぎはそれら双方を引き起こす。

悪影響はすぐに現れ、かつ時間を経てからも現れる

Elijovich氏によると、塩分を過剰に摂取するとその30分以内に血管の拡張性が低下するという。さらに、高血圧の状態が慢性的になると、心臓発作や脳卒中などのかたちで悪影響が現れてくる。ただしLaffer氏によると、塩分摂取を控えることのメリットも、すぐに現れるとのことだ。塩分摂取量を大きく減らした場合、血圧は数時間から数日以内に下がるという。

全身に影響が及ぶ

塩分過剰摂取は心臓だけでなく腎臓にも負担をかける。「腎臓の働きの一つは塩分を排泄することだ。しかし高血圧の状態では、腎臓のその働きが低下し、塩分が体内に蓄積しやすくなることがある」とLaffer氏は解説。その結果、足がむくんだり、胸に水が溜まって心臓や肺の働きを低下させたりする。さらに、高血圧による血管障害のために脳卒中のリスクが高まるほか、塩分バランスと血圧の調節機能が正常に働かなくなる可能性もある。

塩分過剰摂取による新たな悪影響も分かってきた

Elijovich氏はまた「最近の研究では、過剰な塩分が免疫システムに影響を及ぼし、心臓病のほか多くの健康障害にかかわる慢性炎症を引き起こすことが分かってきた」と述べている。過剰な塩分が腸内細菌にも影響を与えるとの報告も見られる。Laffer氏は、「最新の研究から、過剰な塩分によって引き起こされる炎症や高血圧に、腸内細菌が関与しているというエビデンスが示されている」としている。

塩分摂取の影響は人によって異なる

ただ、塩分が体に与える影響の根本的なメカニズムは、完全に理解されているわけではない。例えば、塩分を摂取しても血圧が上がらない人もいる。その反対に'過剰'とは言えない程度なのに血圧が上昇してしまう「食塩感受性」の高い人もいる。ただしElijovich氏は、「大切なことは、大半の人にとって塩分摂取を控えることは間違えなく健康に良いということだ」と述べている。

改めて減塩を考える

塩とナトリウムは厳密には異なるが、食品に含まれるナトリウムのほとんどは塩であり、ほぼ同じ意味で用いられている。ファストフードのハンバーガーには、1,000mg以上のナトリウムが含まれていることがあり、フライドポテトを追加で注文すると400mgプラスされる可能性がある。チキンヌードルスープでは2,200mg以上に上ることもある。

米国のガイドラインでは、成人のナトリウム摂取量を1日2,300mg以下にすることを推奨している。さらに米国心臓協会(AHA)は、1日1,500mg以下を理想としている。一方、米国人の平均的なナトリウム摂取量は、1日3,400mgだ。Laffer氏は、「食品のパッケージには『低ナトリウム』と書かれていても、そうではないこともある。だからこそ、栄養表示ラベルを確認することだ」と注意を喚起する。またElijovich氏は、塩ではなく香辛料を使って調理することを勧めている。

今年2月、「Circulation」に掲載された過去85件の研究のメタ解析では、ナトリウム摂取の抑制が血圧低下につながることが改めて確認された。「肥満でない健康な若い人も含め、全ての人が塩分の過剰摂取に注意すべきだ」とLaffer氏は語っている。(American Heart Association News 2021年5月26日)

https://consumer.healthday.com/aha-news-how-much-harm-can-a-little-excess-salt-do-plenty-2653113380.html

American Heart Association News covers heart and brain health. Not all views expressed in this story reflect the official position of the American Heart Association. Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.

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