地球から約3億キロ離れた小惑星の内部から新鮮な「砂」を採取した探査機「はやぶさ2」のカプセルが6日未明、地球(オーストラリア)に帰還する。その砂を分析する場所の一つが、兵庫県佐用町の大型放射光施設「スプリング8」。初代「はやぶさ」に続き分析に携わる土山明・立命館大学招聘(しょうへい)教授(66)=同県宝塚市在住=は「砂の中から“水の化石”が見つかるかもしれない」と帰還を心待ちにしている。(霍見真一郎)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、はやぶさ2は2014年に打ち上げられ、18年6月、地球と火星の間にある小惑星「りゅうぐう」上空に到着。2度着陸し、砂を採取した。
2度目の着陸前には、重さ約2キロの銅の弾を撃ち込んで人工クレーターをつくり、太陽にさらされていない新鮮な砂を採取する世界初の挑戦を成功させた。
◆
その貴重な砂を分析するスプリング8は、土山さんによると「ものすごく強いエックス線を出すことができる世界最大の施設」。
エックス線はほとんどの物体を透過するため、砂を破壊せずに断面を撮影し、構造を知ることも可能。砂に含まれる鉱物を特定することもできるという。
砂の分析でとりわけ注目されるのが「水」の存在。土山さんによると、真空の宇宙では、特別な状態を除いて液体の水は存在しない。はやぶさ2で期待されているのは、鉱物の結晶中に水の分子が入っていること。小惑星には太陽系が誕生したころの姿が残っている可能性があるとされており、もし見つかれば、地球上の水や人間の体内の水の起源につながる道筋ができるという。
さらに、特例として「空洞の中に水がちゃぷちゃぷ入っていることも考えられる」。空洞は大きくて1ミリの100分の1程度、小さければ1万分の1以下。土山さんによると、スプリング8はこの小さな空洞の液体を探すのに適しているという。
「小惑星の鉱物に閉じ込められた“水の化石”が発見される可能性がある」
もし、液体としての水が見つかれば、小惑星が生まれた場所が、これまでの通説より太陽から遠かったことを示すといい、太陽系の起源に迫る大きな発見になるという。分析は、国内外の研究施設で行われ、ほかの施設では有機物の存在も調べる予定。
はやぶさ2はカプセルを切り離した後、別の小惑星を目指して飛行を続ける。
◆
砂の全体の状況を調べた上、汚染がないように注意深く研究施設に分配するため、スプリング8で分析を開始するのは来年7月ごろからだ。
土山さんは「(トラブルが多かった)初代はやぶさと違い、安心して帰還を待っている。水の発見も楽しみだが、全く予想もしていない新発見があるかもしれない」と話す。
からの記事と詳細
https://ift.tt/37sup2J
科学&テクノロジー
0 Comments:
Post a Comment