記事 INDEX
- 夢にいざなう環境を提供
- しっかり休んで健康に!
- こだわりグッズも続々と
睡眠の大切さが見直されている。心地よい睡眠の習慣を目指す「眠活」の取り組みを福岡県内で探った。
夢にいざなう環境を提供
飯塚市の八木山峠にある動物園「ピクニカ共和国」には「お昼寝の森」がある。ヒノキやスギにハンモック9基が取り付けられ、鳥のさえずりを聞きながら静かな揺れに身を任せると眠りに引き込まれるとして人気だ。
山本雅一園長が、大人も憩える場所にしようと「眠り」に着目し、2023年5月に昼寝用ハンモックを増設した。寒い時期は毛布や寝袋の持参がおすすめで、1月28日にはコーヒーがふるまわれる。「普段忙しい人も街のけんそうを離れて眠りを楽しんで」と利用を呼びかける。
街中でも昼寝スポットが登場している。老舗寝具会社「西川」(東京)は22年5月、福岡市・天神のショウルーム内に昼寝専用の「ちょっと寝ルーム」を開設。仮眠用ベッドを置き、照明や調香、BGMで眠りやすい環境を整えた。平日午前11時半~午後3時に30分500円で利用できる。
同市中央区の市科学館では、毎年11月の勤労感謝の日にプラネタリウムで仮眠イベントを開催。昨年も投影された星空の下、約300人が毛布や枕を持ち込んで眠った。
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しっかり休んで健康に!
19年の国の調査では、対象となった20歳以上約5700人の約4割は睡眠時間が6時間未満。「日中に眠気を感じる」「寝ている途中に目が覚める」と悩む声も多かった。
国の検討会は23年末に睡眠ガイドをまとめ、1日の目標を小学生9~12時間、中高生8~10時間、成人6時間以上、高齢者8時間未満に設定。座長の内村直尚・久留米大学長(睡眠医学)は「睡眠で十分休養することが大切。不足すれば子どもの場合イライラや落ち着きのなさにつながり、成人では生活習慣病やうつ病、認知症のリスクが高まる」と説明する。
こだわりグッズも続々と
睡眠関連の市場規模は年々拡大しており、矢野経済研究所(東京)の22年の調査によると、25年には105億円と、20年の3倍以上を見込む。
西川は、昼寝向けグッズ「コネムリ+(プラス)」シリーズを販売。腕を通す穴があるクッションやうつぶせ寝しやすいよう穴あきの形状の枕などがあり、全国で4万個売れた。
福岡市の博多阪急では、特殊な繊維で血行を促進する室内着「BAKUNE」(1万3200円など)を特設ブースで販売。好評のため、昨年6月までだった出店期間を今年2月末をめどに延長した。
社員の健康を重視する企業に向けた新商品も。久留米市の「アクセルスターズ」は東京大の技術を活用し、睡眠を分析して5段階で質を示すサービス「スリープコンパス」を開発。健康診断などでの導入拡大を目指す。
北海道の企業「広葉樹合板」は立ち寝ができるブース「ジラフナップ」(330万円)を1月末に発売。県内の企業などから多数の問い合わせがあるという。
生活リズムを整えて
久留米大は4月に「スリープラボ」を新設するなど睡眠の教育・研究に力を入れている。内村学長に睡眠の注意点やコツを聞いた。
◇
毎日の睡眠時間に変化が大きいと、生活リズムが崩れます。起床時間を固定し、時間の変化はプラスマイナス2時間以内にとどめるよう心がけて。寝る前にスマートフォンを見ると眠りが浅くなるので控えましょう。
人は午後2~4時に自然に眠たくなる時間帯があり、同3時頃までに30分未満の休息をとると作業効率がアップします。机にうつぶせになったり目を閉じたりするだけでも効果がありますよ。
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