Thursday, December 10, 2020

車や住宅など減税拡充 与党、税制大綱決定…格差是正へ対応不十分 - 東京新聞

 自民・公明両党は10日、2021年度の税制の見直し策や中期的な検討課題を示した与党税制改正大綱を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた家計や企業を支えるため、車や家など暮らしに関わる減税措置の拡充が柱となる。ただ、住宅や自動車業界などの意向を反映し、目先の税負担を抑える「止血」としての色合いが濃く、格差是正への対応は不十分な内容となった。(大島宏一郎、皆川剛)

◆業界の要望踏まえ

 個人向けでは、お金を借りて住宅を買った人のローン残高に応じて所得税や住民税の負担を軽くする「住宅ローン減税」の入居期限を22年末に延長する。対象物件の床面積も所得制限付きで引き下げた。「業界の要望」(与党税制調査会幹部)を踏まえた形だ。
 車を持つ人が車検時に納める「自動車重量税」で、燃費の優劣に応じて税金を減免する「エコカー減税」の適用期限も23年4月末に延長。延長に伴いより厳しい新燃費基準が適用される。新基準をそのまま適用すると増税になる車が増えるため、基準を40%下回る車まで減税対象に含める。
 企業向けでは、温暖化対策として二酸化炭素の排出削減を目指す「脱炭素化」や「デジタル化」など政府が重視する政策の実現に向け、企業の投資を法人税の減税で促す。具体的には、EVに使われるリチウムイオン電池など省エネにつながる生産用の設備や、インターネット上でデータを共有するクラウドを導入すると、法人税から一定額を差し引ける優遇措置を設ける。

◆「金融所得」への増税は見送り

 一方、個人が持つ株の売却益や配当金といった「金融所得」に対する増税は見送られた。給与などの所得には最高55%(住民税含む)が課せられるが、金融所得は、他と切り離して一律20%(同)の税率がかかる。このため、多くの専門家が「金融所得を多く持つ富裕層に有利」と問題視していたが、自民党税調では議論もなかった。

 政府税調の元委員で青山学院大前学長の三木義一氏は「選挙で応援してくれる業界団体に配慮した減税ありきの議論に終始した」と指摘。米国ではバイデン次期大統領が格差是正の観点から富裕層への増税を主張していることを念頭に、三木氏は「(豊かな人から貧しい人に所得を回す)所得再分配機能の強化にも踏み込むべきだ」と訴える。

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