Saturday, October 31, 2020

いじめ増加 意識改革をさらに進めて | 社説 | コラム - 熊本日日新聞

 全国の小中高校と特別支援学校が2019年度に認知したいじめは、前年度より約7万件多い61万2496件となり、5年連続で過去最多を更新した。心身に深刻な被害が生じるなどの「重大事態」も2割増の723件。いじめを1件でも確認した学校は82・6%に上った。

 調査した文部科学省は「教員が積極的にいじめを発見し、早期に介入する方針が定着した」と肯定的に評価した。重大事態が急増していることについても「潜在的な被害が表れた」と説明し、相談体制を強化するなどの対策を進める考えだ。

 これまで見逃されていた被害を学校が直視した結果だと結論づけたいのだろう。だが、専門家からは、被害の訴えがあっても「なかったことにしたい」と考える学校はいまだに多く、調査結果は「氷山の一角」にすぎないとの声が上がっている。現実から目を背けているのは文科省かもしれない。

 学校の不十分な対応は被害者に精神的な追い打ちをかける。初期段階の小さなサインも見逃さないよう、意識改革をさらに進めてもらいたい。十分な人員を確保し、教職員が児童生徒に寄り添える時間を増やすことも必要だ。

 児童生徒千人当たりの認知件数は全国平均で46・5件。都道府県別にみると、最多の宮崎県(122・4件)と最少の佐賀県(13・8件)では9倍近い開きがある。熊本県の認知件数は、前年度に比べ969件多い6539件で、児童生徒千人当たり33・3件。熊本市は3917件で、児童生徒千人当たり63・6件だった。

 同じ九州、同じ県内でも、いじめの判断基準には地域差があると受け止めなくてはなるまい。認知件数が極端に少ない自治体の教育委員会や学校は、いじめの見逃しが多いと考えるべきだ。

 重大事態の内訳は、生命や心身、財産に深刻な被害を受けたケースが301件、年間30日以上の不登校となったのが517件。両方に該当する事例もあった。いじめの初期段階で学校が適切な対応をしなかったためエスカレートし、重大事態となるケースは枚挙にいとまがない。

 本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴ういじめが増えそうだ。他県では、長期間休んだ子どもを「コロナに感染した」と決めつけたり、親が医療関係者であることをからかったりする事例が既に報告されている。熊本県教委の調査では、コロナに感染した児童生徒らを中傷するインターネット上の書き込みが複数確認されている。

 学校が、閉鎖的な価値観を生み出し異質性を排除する場所になってはいないか。コロナ禍の影響が続く今だからこそ一層の注意を払いたい。ストレスを抱えた子どもにも丁寧な対処が必要だ。ただ、教職員は忙しく、いじめ対策になかなか注力できない。保護者や地域住民も、これまで以上に学校との対話を重ね、子どもたちの変化を敏感に察知したい。

Let's block ads! (Why?)



"十分な" - Google ニュース
November 01, 2020 at 05:11AM
https://ift.tt/3kH3wxo

いじめ増加 意識改革をさらに進めて | 社説 | コラム - 熊本日日新聞
"十分な" - Google ニュース
https://ift.tt/37ptJZX
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
Share:

0 Comments:

Post a Comment