WACUL(ワカル)は、研究レポート「AIによる未来予測研究~AIはスマホゲームで課金するユーザーを予測できるのか」を発表した。スマホゲームのインストール直後の行動データから、「将来、課金サービスを利用するかどうか」を予測したという。
インストール直後のユーザー行動から、その後の課金行動を予測できるか?
スマホゲームでは、ダウンロード無料・アプリ内課金有という「フリーミアム」の収益モデルを採用することが多い。一方でフリーミアムのスマホゲームでは、インストールをしても止めるユーザーや、無課金でゲームを続けるユーザーも多数いる。
コンバージョンを「インストール」にした場合、デジタル広告は、課金しないユーザーも含めて増やすよう最適化されるため、過剰な広告費を投下している可能性が高い。コンバージョンを「課金」にすれば、広告の費用対効果が大きく改善する可能性があるが、ユーザーが実際に課金サービスを利用するまでにはタイムラグがあり、PDCAを回すのに時間がかかる。
今回の研究レポートでは、インストール後から短期間のユーザー行動から、その後の課金行動を予測し、課金ユーザーを効果的に誘導できている広告を早期に把握。その分析結果を配信広告の運用に活用することで、広告のPDCAを高速化できるか検証している。
汎用性の高い「一般的な特徴量のみの行動データ」で、課金は予測可能
今回の予測では、2パターンの分析用データを作成し精度を比較している。分析は、アプリの広告計測ツールを持つオプトと共同で行った。
(A)ゲーム固有要素に依存しない、一般的な特徴量のみの行動データ
- ログイン回数・時刻
- 課金金額
- デバイス種別
- IPアドレスから推測された地理情報
- ネットワーク回線種別
- 広告関連情報 など
(B)一般的な特徴量に加え、ゲーム固有要素を含んだ行動データ
- チュートリアル
- イベント消化状況 など
具体的には、「インストール後から1週間(観察期間)」の行動データを用いて、「その後4週間(予測期間)」に課金行動を一度でも行うかどうかを、二値分類問題として予測した。ユーザー数はAndroidは23万3,521人、そのうち課金ユーザー数は3.12%。iOSは43万1,043人、そのうち課金ユーザー数は2.16%。約80%が訓練ユーザー、約20%が評価ユーザーとしている。
AIの分析予測モデルには、ロジスティック回帰、XGBoost、DNN(ディープラーニング)を使用。それぞれの予測モデルで「適合率」(課金サービスを利用すると予測したユーザーが実施に課金サービスを利用した割合)を比較すると、まず「(A)一般的な特徴量のみの行動データ」の場合、DNN(ディープラーニング)が正解率94%程度で適合率がもっとも高かった。ランダム抽出と比較すると最大で9.03倍の適合率で、課金ユーザーを特定できた。
さらに、同様の予測を「(B)ゲーム固有要素を含んだ行動データ」でも行ったが、大きな差異はなく、同等かそれ以上の適合率となった。これは、ゲーム内のイベントによらず、汎用性の高い「一般的な特徴量のみの行動データ」で課金するかしないか予測可能であることを示している。
この結果は、「より課金サービスの利用が見込めるユーザーを獲得するために、広告配信の最適化が行える」こと、課金見込みユーザーにクーポンを発行したり、ゲーム内で優遇したりすることで、「通常のフィードバックでは届かなかった、課金見込みユーザーへのリーチが期待できる」ことを示唆している。広告配信以外への応用が期待される。
調査概要
- 【対象ユーザー数】
・Androidは23万3,521人、そのうち課金ユーザー数は3.12%
・iOSは43万1,043人、そのうち課金ユーザー数は2.16%
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October 26, 2020 at 06:00AM
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