日産自動車の西川(さいかわ)広人社長は辞任後も当面、取締役に残る公算が大きい。日産の取締役11人のうち、7人の社外取締役を除くと日産・ルノー出身者が2人ずつで、西川氏が取締役会を去ると均衡が崩れることが背景にある。今後選ばれる新トップにとって、筆頭株主で日産との経営統合を模索してきたルノーとの交渉も、大きな課題となる。
日産は9日の取締役会で西川氏に、社長兼最高経営責任者(CEO)の辞任を要請し、西川氏はこれを受け入れた。だが、取締役の役職に関しては、「本人の判断に任せる」(幹部)方向で、西川氏も辞める意思は示していない。取締役の解任・選任を行うには株主総会での議決が必要だ。
日産にとって西川氏に取締役にとどまってほしい事情は、取締役会のパワーバランスの維持だ。同社は前会長、カルロス・ゴーン被告らを取締役から解任した4月の臨時株主総会でルノーのジャンドミニク・スナール会長を、6月の定時株主総会でルノーのティエリー・ボロレCEOを取締役に受け入れた。両首脳がそろってルノーの発言力が増した一方、日産生え抜きの取締役は、西川氏が辞めれば、後任のトップを代行する山内康裕最高執行責任者(COO)1人になる。
企業規模で上回る日産が資本関係では事実上、ルノーの傘下に置かれている。新トップは、企業連合のパートナーであるルノーと良好な関係を維持しつつ、資本関係の見直しを進めるしたたかな交渉力が求められそうだ。(高橋寛次)
2019-09-15 08:53:00Z
https://www.sankei.com/economy/news/190915/ecn1909150011-n1.html
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