
政府の2022年度一般会計予算の概算要求が出そろい、総額は111兆6559億円となった。 21年度当初予算よりも5兆462億円多く、4年連続で過去最大を更新した。100兆円超えは8年連続で、常態化しつつある。 感染拡大が続く新型コロナウイルス対策や加速する高齢化対応などを名目に要求額が増えた。 コロナ対策の予算を手厚くすることは理解できる。だが、国の財政は歳入の4割を借金でまかない、先進国で最悪の状況に陥っている。 要求の中に必要性の乏しい事業が紛れ込んでいないか、厳しく精査する必要がある。 要求額が膨張した一因として、歳出全体に上限を設けない「青天井」だったことがある。歳出抑制への意識が働きにくくなっているのではないか。 今回、重点政策を優遇する「特別枠」が2年ぶりに復活した。脱炭素や地域活性化など、経済成長につながる事業には、通常経費とは別に要求が認められた。 各省庁合わせると、4兆3千億円にも上る。政策効果を十分見極めるべきだ。 コロナ対策の経費は、要求段階で金額を示さない「事項要求」とした省庁が多く、実際の総額はさらに増える可能性がある。 深刻なのは、借金返済や利払いに充てる国債費が、21年度当初予算から6兆4千億円増え、30兆2362億円とこれまでで最も多額となった。コロナ対策費用を確保するため国債を大量発行したのが影響した。 国の借金は、1千兆円の大台に乗っている。野放図な拡大を続ければ、財政再建は遠のき、将来世代に大きなツケとなる。 政府は20年度に3度の補正予算を編成し、当初予算を含む歳出総額は175兆円超まで拡大した。そのうち30兆円余りは、年度内に執行できず21年度に繰り越した。 コロナ対策の内容の精査が不十分なまま、予算化していたことを物語る。国民生活に直結するだけに、無駄のない編成と着実な執行が求められる。 危機的な財政状況にもかかわらず、今秋の衆院選を控え、数十兆円規模の経済対策を求める声が与野党から上がっている。 コロナ禍でも、政治的思惑から財政規律をないがしろにするようなことがあってはならない。 優先度や効果を見極め、国民の暮らしに寄り添う予算編成が求められる。
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