新型コロナウイルスのワクチン接種進展を前提に、緊急事態宣言の発令地域でも、十分な感染対策を取っていれば、飲食店の酒類提供を認めるとする政府の行動制限緩和案が3日、明らかになった。政府は10~11月に希望者全員への接種を終えたい意向で、この段階での緩和を想定しているとみられる。接種を終えた人の県境を越えた移動を容認し、観光支援事業「Go To トラベル」の再開も検討する。
政府は近く、社会経済活動の再開に向けたロードマップ(行程表)として公表する方針。感染者の急増が続き、医療機関の病床逼迫が解消していない中での制限緩和案の公表は議論を呼びそうだ。感染症の専門家には緩和に慎重な意見もある。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は3日、社会経済活動の制限緩和を議論する会合を開く。ワクチン接種率が高まった後、どのような生活が可能になるかについて政府への提言をまとめる考えだ。午後に分科会の尾身茂会長が記者会見し、内容を説明する。
制限緩和案は「接種が進むと、基本的な感染防止策を前提にすれば、感染拡大を一定程度制御できるようになる」と説明。飲食店の酒類提供を認め、営業時間の制限を緩和する。感染対策を徹底して行う大規模なイベントの人数制限も緩める。
政府は北海道、東京、大阪、沖縄など21都道府県に緊急事態宣言を発令中で、対象地域では酒類やカラオケを提供する飲食店に休業を、それ以外の飲食店には午後8時までの営業時間短縮を要請している。21都道府県とも宣言の期限は12日だが、全面解除は困難との見方が広がっている。 (共同)
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